漢方医学科
- 検査で異常がなく西洋医学的な治療では改善しない症状が対象です。
- まず症状に該当する専門科目に受診されたうえで漢方薬を使用します。
- 主にエキス剤を使用します。保険診療ですので金銭的な負担は軽いです。
- 漢方薬は食事の延長という考え方があり、やはり食事の影響が強いため食事の見直しをお願いします。
治療の流れ
状態確認
西洋医学的な検査と治療が優先される状態でないことを確認
診察・治療
東洋医学的診察、漢方薬の処方
治療継続
定期的に効果を評価し、治療の継続、変更を考慮
- 内服、食事の見直し
治癒
症状が消失・継続・廃薬
治療方法
漢方薬
漢方薬は紀元前から中国で使用されてきた薬が仏教の伝来とともに日本に伝播し、日本独自に改良された薬です。
現在はエキス剤といって、顆粒や錠剤になっていて簡単に飲めるようになりました。
薬膳
食事と健康は強く関連しており、食事は治療薬のもととなり医食同源といわれています。薬膳は薬の役割をする食事です。その考え方から、漢方治療で効果を高めるためには、患者さん本人の生活習慣と食事内容の見直しが必要です。
食事では、季節に合った旬の食べ物、地域に合った食べ物を選ぶのが良いと思います。
また、冷蔵庫から出した食べ物、飲み物は体を冷やすので注意が必要です。当クリニックで行われている栄養指導の一部として行います。
漢方医学・東洋医学のまめ知識
現在の医学は、明治時代以降の西洋医学といってヨーロッパ発祥の医学が中心となっています。
明治時代までの日本の医学は、中国から伝わった東洋医学が中心でした。
現在は東洋医学が、日本独自に改良され漢方医学として細々と受け継がれています。
漢方を知るための東洋医学の理論
東洋医学は理論的な印象で、漢方医学は実践的な方向となり薬の使い方が中心です。
東洋医学の理論を知ると、漢方薬を使いこなしやすいという考えがありますので、簡単にご紹介します。
東洋医学の診察法
脈診、舌診、腹診で気血水や五臓の状態を推測します。
西洋医学の一般検査とは違い再現性のある所見が得にくく経験、知識が必要で、流派により解釈の違いがあったりします。
脈診、舌診では降圧剤の内服など西洋薬の影響を考慮しなくてはいけません。
陰陽
西洋医学は、人間を蛋白質など物質の集合体ととらえます。
東洋医学では、人間は自然や宇宙の一部とし、病気はプラスの状態(陽)とマイナスの状態(陰)のバランスの変化ととらえます。西洋医学では病気が環境や食事、精神状態に影響することはほとんど説明できませんし、検査で結果が出ないと病気と診断できません。検査がない時代に発展した東洋医学では診察のみで未病・病気を判断します。
気血水
西洋医学では人体を循環しているのは、赤色をした液体である血液です。
東洋医学ではエネルギーを伝える気、体液である血、水の3つが循環していると考えられていて、
水は西洋医学ではあまり調べられていないリンパ液や、間質液などに相当するようです。
五臓六腑
東洋医学では肺、肝、腎、脾、心、(心包)の五臓と大腸、胆、膀胱、胃、小腸、三焦の六腑を中心に身体の構成を想像しています。
五臓六腑の働きを連絡しているのが、経絡という気血水の通路で、皮膚の浅いところに出てきた場所が経穴(ツボ)です。
そのツボを刺激すると、経絡に伝わり五臓六腑に刺激をあたえ、症状の調節ができます。
それが鍼灸の原理で、現在の医学で原理は証明されていないにもかかわらず、理論通りの効果が出るので不思議です。
生薬
生薬は動植物などから加工したもので、漢方薬の生薬の組み合わせです。
西洋薬のなかには、生薬の成分を由来の薬も多く存在します。
例えば、下剤は大黄や芒硝の成分を使用していますし、肝臓病のグリチルリチン製剤は甘草の成分を使用しています。