骨粗鬆症の治療
- 腰(腰椎)、股関節(大腿骨)の骨密度を測定して正確に診断します。
- 採血で骨粗鬆症の状態を、正確に把握したうえで治療します。
- お薬、リハビリ、食事を組み合わせ、効率的に治療します。
- 体組成計(体脂肪、筋肉量を測定)で、総合的に判断します。
骨粗鬆症とは
骨粗鬆症とは骨の強度が低下し、骨折しやすくなる病気です。
代表的な骨粗鬆症による骨折は、「いつのまにか骨折」といわれる痛みに気付かない背骨の骨折や、手術が必要になる大腿骨の骨折などです。いったん骨折すると歩けなくなったり病気になったり、衰弱していくことで寿命が短くなったり介護度が高くなる危険性があります。
骨粗鬆症は予防すべき疾患であり、特に痛みなどの症状のない人であっても、
以下が当てはまる方は受診をお勧めします。
- 数回にわたる骨折
- 家族で股関節の骨折で、手術をされたことがある方
- 喫煙される方、お酒をよく飲む方
- ステロイドを3ヶ月以上の服用歴のある方
- 糖尿病、関節リウマチ、甲状腺機能亢進症などの病気がある方
- 胃などのおなかの手術をされたことのある方
骨粗鬆症による骨折
骨折の起りやすい場所は、せぼね(椎体骨折)、手首(橈骨遠位端骨折)、肩(上腕骨近位端骨折)、
股関節(大腿骨頸部骨折、大腿骨転子部骨折)があります。
股関節の骨折はほぼ手術になりますが、肺炎などの合併症や歩行能力が低下し、介護が必要になる可能性がかなり高くなります。
骨粗鬆症の診断と治療
骨粗鬆症の診断
診察と骨密度検査、血液検査・尿検査など、結果から正確な診断を行っています。
X線検査(胸腰椎2方向)
隠れた圧迫骨折がないかどうか、骨変形・椎間板変性によって、
背骨が変形していないかどうか、などを判定します。
骨密度検査
当院では骨粗鬆症治療ガイドラインで推奨されている
「腰椎・大腿骨を用いたDXA(デキサ)法」にて測定しています。
血液検査
当骨代謝マーカーの検査は、最適な薬剤選択で欠かせません。
骨吸収を示す骨代謝マーカーの高い人は骨密度の低下速度が速いため、
骨密度の値にかかわらず骨折の危険性が高くなっています。
骨粗鬆症の治療
大きく食事・運動・薬物療法があります。
食事療法
骨粗鬆症の人が避けるべき食品は特にありませんが、カルシウム摂取が不足すると骨粗鬆症の原因となるだけでなく、動脈硬化症・糖尿病・高血圧など様々な疾病が起こります。骨粗鬆症の患者さんは動脈石灰化による冠状動脈疾患・心臓病が多くみられることはよく知られており、骨粗鬆症の予防と動脈硬化を防ぐためには、適切なカルシウム摂取と同時にカルシウム以外の骨代謝に必須の栄養素であるビタミンDやビタミンKの摂取がすすめられています。以上の理由から、骨粗鬆症の治療に平行して栄養指導を積極的に行います。
運動療法
骨は、運動で負荷をかけることで丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが無くなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗鬆症の治療に不可決です。激しい運動をする必要はなく、散歩などは週に数回でも十分ですので、とにかく長く続けましょう。
当クリニックでは、骨粗鬆症の治療に平行して積極的にリハビリを行います。
薬物療法
おもに骨吸収抑制薬と骨形成促進薬に分けられますが、薬の効果には個人差があり、
副作用がでることもありますので、定期的な検査を行い継続する必要があります。
骨吸収抑制薬 | ビスホスホネート製剤、SERM製剤、抗RANKLモノクローナル抗体製剤 |
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骨形成促進薬 | PTH製剤(副甲状腺ホルモン)製剤 |
補助的な薬 | ビタミンD製剤、ビタミンK製剤など |